■四季の養生について

~ 春は芽吹き、発散する季節です ~



春の躍動に沿って、新陳代謝が活発になる季節

 

黄帝内経素問「四気調神大論篇第二」には、春の三月、此れ発陳という。天地にも生じ、万物以て栄ゆとあります。

 

発陳とは陳(ふる)きを押し出して新しいものを発生させるという意味になります。

 

春は木の芽時と言われるように、すべての生き物が活動を始める時季です。

私たちのからだも、大地から芽が出るがごとく、新陳代謝が活発になってきます。

そうすることで、冬の寒い時季に溜め込んだものを代謝し排泄して、自然の躍動に合わせたからだに備えることができるのです。

 

春は肝が活発化する季節です

肝は、肝臓のことだけでなく、血を蔵し、目や筋肉、爪を司り、気の動きを調節して、感情を安定させる総称となります。

 

春の木の芽時に合わせて、からだは冬に溜め込んだ脂肪などを一気に血液中に溶け出させて、からだの衣替えを行います。

肝の働きがよくないと、血液の浄化が追いつかず、春独特の不調が起こりやすくなりますので、スムーズな代謝(解毒・排泄)がポイントになります。

 


軽い運動を取り入れて

この時季、春うららかな陽気に似合わず、なんとなく不調を感じる方が少なくありません。

肝が活発化するこの時季は、からだが上手く春の気候に合わせられればよいのですが、それが上手くいかないと、木々の芽吹きの成長のエネルギー似た肝の気が上へ上へと上昇し、胸から上に対して何らかの症状が出やすくなります。(例:花粉症)

 

寒くない日は、軽く散歩するなどの運動をして、気の流れを助け、春のからだに整えましょう。



春の食薬

春の季節は、肝が活性化します。

その肝の働きを助けてくれる食薬が、春の野草であるつくしやせり、ヨモギなどです。

野草には、大地をけやぶるエネルギーが宿っています。

そのエネルギーが、細胞ひとつひとつに溜め込んだ余分なものを揺り動かして分解・排泄してくれます。

 

また野草特有のほろ苦さは、血液の浄化を促してくれる働きがあるので、少量ずつ充分なので、春の味覚のひとつとして、食してみてください。

加えて春の旬であるブロッコリーやキャベツ、菜の花なども薹(とう)が立つ野菜となりますので、野草と同じく生長する強いパワーと代謝作用があります。

 

春の野草と春の旬の野菜の栄養とパワーを食して、活動しやすいからだに整えていきましょう。



春の五味「酸」

酸味には分解する働きがあり、スムーズな排泄を手伝ってくれます。できるだけ、梅酢や梅干し、梅肉エキス、味噌、しょう油、漬物などの昔ながらの酸味を摂りましょう。

 

▶注意しましょう

炭酸や合成クエン酸、果物も酸味になりますが、自然な酸味ではないので、こちらの酸味はできるだけ控えてください。



参考書籍

*野菜の便利帳 *からだの教養12ヶ月 *薬膳・漢方の食材帳